50歳以降の女性に起こる手指の痛みや痺れ、腫れ、変形といった症状は、手指の酷使や加齢によるものだと考えられてきましたが、エストロゲン(女性ホルモンの一つ)分泌量の減少が関与している可能性があります。 

エストロゲンは様々な身体機能に深く関与しており、手指の関節や靭帯を含む全身の細胞にその受容体が存在するため、更年期における分泌の急減は身体各所に大きな影響をもたらします。 

手指の関節の痛みは50代前半、変形は60代からが最も多く、痛みに対して適切な治療がされずに変形に至ったと考えられます。 

治療の基本的な流れとしては①安静・固定→②薬物療法→③手術となりますが、症状が進行してしまうと治療法も限られてくるため、更年期前からの予防・早期治療が重要です。 なお、女性ホルモンに似た働きを持っているサプリメントの摂取も初期症状の緩和に役立つ事が期待されております。(当院でも購入できます)

また、以下のような手指の傷病との鑑別も必要になるため、気になる症状のある方は是非一度ご相談ください。 

 

関節リウマチ:手足の関節を中心に両側かつ多発的に現れる腫れ、激しい痛み(安静時も)、変形。朝のこわばりや全身症状の併発(発熱・倦怠感など)が特徴的。3050代女性に多い。 

手根管症候群:人差し指・中指を中心とした痺れ、痛み。明け方に症状が増し、手を振ると軽減。女性に多い 

ドケルバン病:親指側の手首の痛み。腱鞘炎。妊産婦や更年期の女性手指を酷使する人に多い。 

ばね指:指の付け根の痛み、引っ掛かり。朝方に症状が増す。妊産婦、更年期の女性、手指を酷使する人、糖尿病・透析・リウマチ患者に多い。 

へバーデン(ブシャール)結節:指の関節の腫れ、痛み、変形2つのコブや水ぶくれのような膨らみができることも。40歳以降の女性に多い。 

ガングリオン:手首などの関節にできるコブ。無症状が多いが、痛みや痺れを伴うことも。若い女性に多い 

 

麦島内科クリニック