片頭痛の新しい注射治療『ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤』始めました
片頭痛に対する新しい注射治療新しい注射『ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤』を当院で開始いたしました。
長期間にわたりつらい頭痛に悩み日常生活にまで影響が出ている方は少なくありません。日常生活には支障している方は74%、病院を受診したことがない方は69、4%と言われておりまだまだ的確な治療をご存じないまま市販の鎮痛剤を服用し、我慢している方もおおいと思います。(鎮痛剤の乱用で薬剤依存性頭痛を起こすと言われております)当院では開院より画像診断やリハビリを併用して頭痛診療を行ってまいりました。各種予防薬、発作時治療薬でかなりの方が改善しております。しかし、中には難治性でクスリの効果が出にくい方がおり、生理前や、低気圧の時など特に頭痛がひどくなる方も多くみられます。そのような患者様に今回の抗体製剤は効果が出るのではと期待しております
当院では二種類の注射薬を予約にて接種開始いたします。エムガルディは2021年4月、アジョビは9月から接種開始されたばかりですので、実際に投与してからの患者様のお声はまだまだこれから…といったところですが、片頭痛に苦しむ方にとっては、生活の質を上げる画期的な治療とおもいますのでご紹介させていただきます。
★ 新しい注射治療『ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤』
◎ 作用
片頭痛発作時には脳内にCGRPという物質が増え脳の血管に作用して頭痛が起こると言われています。今回の抗体製剤はCGRPに結合し脳の血管拡張が起きにくくなり片頭痛が起こるのを抑えると考えられております。
◎期待される効果
発作の回数が減る(1か月あたりの発作日数を平均3.6日低下させたとの報告あり)
発作時の痛みや随伴症状が軽減する
発作時に飲む急性期治療薬の服用回数が減る
急性期治療薬の効き目がよくなる
⇒片頭痛による日常生活への支障が軽減する
◎ 投与方法・頻度(一か月に一回)
エムガルディ(日本イーライリリー);初回:2本 皮下注射、2か月目以降(1か月毎):1本 皮下注射
アジョビ(大塚製薬);初回;1本 皮下注射、2カ月目以降(4週毎);1本 皮下注射(1回目に3か月分3本接種可能)
◎ 費用(3割負担);エムガルディ初回 2本、約27,000円、2か月目以降1本 約13,500円
アジョビ; 初回から、1本、約12,100円、
( 3か月注射して効果がない場合、継続するか医師と相談になります。 )
◎ 対象年齢;18歳以上
◎ 接種可能な方;今まで片頭痛治療(予防薬、発作時の治療)をすでに実施しており、効果が十分でない方。また、同治療薬が禁忌、副作用があり治療が継続できない方。
◎ 副反応;よく見られる作用、注射部位反応(疼痛、発赤、かゆみ、腫れ、蕁麻疹)、重篤な過敏反応(息苦しい、動悸、顔面の晴れ、寒気、発熱、発汗、ふらつき、朦朧状態がごくまれにみられると報告がありました)
◎ 注意;初診の方は原則その場で注射はできません、他の疾患の鑑別で開始前に検査をおすすめすることがあります。
初診は、水曜日以外の脳神経内科に予約なく受診できます、注射開始になった場合は予約制(水曜日以外)です
頭痛の種類、頻度・治療歴などにより投与できる患者様が決まっておりますので、投与をご検討の際は医師とよくご相談ください。