■糖尿病
<糖尿病とは>
インスリンと呼ばれる血糖コントロールの働きをもつホルモンが不足し、血糖の数値が増える事により体へ様々な影響を引き起こす病気を「糖尿病」といいます。血液の中にはブドウ糖が含まれており、その濃度が増えることが原因で障害を引き起こしてしまうのです。

糖尿病と聞くと「尿に糖が混ざる病気」と捉えがちですが、実際は血液の中に含まれる糖分、すなわち血糖値が高くなる病気なのです。なので、たとえ糖尿病と診断された場合でも、自分自身の健康管理をしっかりと行い血糖値を上手くコントロールする事ができれば、健康な人と変わることのない毎日を過ごすことができます。
しかし、糖尿病の発症初期には自覚症状がそれほど出ないため、気づかないまま病気を放っといてしまう事がほとんどです。糖尿病には三大合併症と呼ばれる「網膜症」「腎症」「神経障害」があり、これらを発症するとQOL(生活の質)が著しく低下してしまいます。

 

<糖尿病の原因>
糖尿病の発症は、遺伝的な体質の問題と日頃の生活習慣などが原因となって起こります。家族を含めた血縁関係者に糖尿病の人がいる場合、遺伝的に考えると糖尿病を発症する可能性は高くなります。また、以前は生活面や食料事情が良くなかったこともあり、糖尿病の素質はあるが発症していないだけの場合もあるため油断はできません。

1.つい食事を食べ過ぎる
2.運動不足による影響が遺伝(インスリンの分泌が体質的に少ない傾向)
3.老化による、すい臓機能の低下
4.薬剤(副腎皮質ホルモン剤や抗精神薬など)による副作用
5.精神的・肉体的に受けるストレスによるインスリンの作用低下

 

<糖尿病の症状>
糖尿病のほとんどは、自覚症状を感じないまま発症しますが、いかに早期発見できるかがポイントとなります。
自覚症状としてあげられるのは以下のような項目があります。

1.頻繁な喉の乾き
2.倦怠感(体のだるさ)や疲労感
3.尿の回数や量の増加
5.よくお腹が空くようになった

糖尿病の初期症状には痛み等は発生しないためとても分かりにくく、健康診断などによる血糖値異常の指摘を受けるまではなかなか気づかれることはありません。血糖の数値が126mg/dl以上の高数値状態が続いてしまうと糖尿病の症状が出始め、70mg/dlを越えない場合は
冷や汗や動悸、手足の震えといった低血糖の症状を引き起こす可能性があります。

 

<糖尿病の検査>
HbA1cや血糖値など調べるため、ひと月ごとの定期的な血液検査を行います。血糖値は食事で大きく影響を受けるため、血液検査をする際は何時間前に何を食べたのかしっかり把握しておきましょう。

HbA1c検査では、糖尿病の事前検査として検査当日の1〜2ヶ月ほど前から血糖状態を確認する管理検査として行っていきます。

 

<糖尿病の正確な診断基準>
1.朝食前の空腹時の血糖値が126(mg/dl)以上である事。
2.75gのブドウ糖を飲み、2時間後の血糖値が200mg/dl以上である事。
3.随時血糖値が※200mg/dl以上(食前・食後、どちらでもかまわない)である事。
4.朝食前の空腹時の血糖値が110mg/dl未満である事。
5.75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が140mg/dl未満

1.〜3.どちらかで血糖値が確認された場合、糖尿病型の判定をします。
4.・5.のどちらかで血糖値が確認された場合、正常の判定をします。
そのどちらにも属さない場合に、境界型と判定されます。

また、別の日に検査を行っても糖尿病型が再度確認された場合には糖尿病と診断します。

 

<糖尿病の合併症>
糖尿病になってしまうと、様々な合併症が引き起こされ、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気、脳梗塞などの脳卒中、動脈硬化の進行、足の閉塞性動脈硬化症などの大きな病気を起こしやすくなってしまいます。
「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」「糖尿病性腎症」は糖尿病の3大合併症と呼ばれます。

 

<糖尿病の治療法>
糖尿病の治療は[食事療法、運動療法、薬物療法]の三つに分けられます。その中でも、糖尿病治療の鍵となるのが“食事療法”です。血糖値をできる限り正常値へ近づける事で、合併症をも予防します。また、血糖値を上手くコントロールできても、動脈硬化性疾患の発症を抑えることは出来ません。
並行して、高血圧、脂質異常症、喫煙など他の動脈硬化を促進させる要因もコントロール・治療することが重要となってきます。生活習慣の改善を行う事でインスリン治療の効果を高める事が望めますし、初期で軽度の状態であれば、徹底した食事療法でかなりの改善が見込めます。治療を開始する前に、必ず担当医師との相談の上、自身に適切な治療法を選択する事が大切です。

麦島内科クリニック