パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳が出す運動の指令が筋肉にうまく伝わらず、なめらかな動作ができなくなってしまう病気です。
パーキンソン病は50~60歳代で発症することが多く、ゆっくりと進行します。日本人の約1000人に1人がこの病気にかかると考えられています。高齢者に多い病気ですが、若い人でも発症することがあります。

 

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の原因は、脳の黒質という部分の神経細胞が減ってしまうのが原因です。
この神経細胞は「ドパミン」という神経伝達物質を作り、「ドパミン」を使って体を動かす機能を調節する働きをしています。黒質の神経細胞が減るとドパミンも減ってしまうために運動の情報が伝わらず、様々な症状が出てきます。

 

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の主な症状は「手足がふるえる(振戦)」「筋肉がこわばる(筋固縮)」「動きが遅い(無動)」「バランスがとりづらい(姿勢反射障害)」の4つです。
その他にも、トイレが近くなったり、よく眠れないなどの症状もみられます。これらの症状は、すべての患者さんに必ずみられるわけではなく、病気の程度によっても変わってきます。

 

パーキンソン病の検査

検査も行いますが、現在のところ「パーキンソン病だということがわかる検査」はないため、検査の結果からパーキンソン病と診断することはできません。パーキンソン病とよく似た症状の別の病気ではないことを確かめるために検査を行います。

 

パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断では、診察が重要です。パーキンソン病では、手足のふるえ(振戦)や、筋肉がこわばって動きにくくなる(固縮)などの症状があらわれます。
このような症状があらわれる病気は他にもありますが、パーキンソン病では、最初は体のどちらか片側のみに症状があらわれて、病気が進んでも左右で症状に差があるのが特徴です。また、非常にゆっくりと病気が進むので、いつから症状が出ているのかはっきりしません。そのため、診察では「いつ、どんな症状に気づいたのか」、「日常生活で困っていることはないか」といったことを患者さんご自身やご家族にお聞きします。なお、服用しているお薬が原因でパーキンソン病と似た症状があらわれることがあるため、服用しているお薬がある場合には、診察の時に、必ず医師に伝えてください。

 

パーキンソン病の治療法

治療には薬物療法と外科療法がありますが、基本は薬物療法です。現在はよく効く薬があるので、適切な治療を行えば症状を改善したり進行をくい止める事ができます。このほか、食事療法や生活療法などのリハビリテーションを合わせて行うことも重要です。
薬物療法
薬物療法には、足りなくなったドパミンの働きを補う目的のものと、ドパミンが減ったためにバランスが悪くなった他の神経細胞の働きを助ける目的のものがあります。

L-ドパ製剤

L-ドパ製剤は足りなくなったドパミンを補うためのお薬で、パーキンソン病治療の中心になります。
血液と脳の間には関所(血液脳関門)があり、ドパミンはこの関所を通ることができません。そのため、この関所を通ることができ、脳の中でドパミンになるL-ドパをお薬として使います。

ドパミン合成促進薬

ドパミン合成促進薬は、L-ドパ製剤と一緒にのむことで脳の中のドパミンの量を増やし、L-ドパ製剤の効果を強めたり、効いている時間を延ばしたりするお薬です。

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、ドパミンそのものではありませんが、ドパミンを受けとる次の神経細胞の受容体の働きを活発にしてドパミン伝達を促進します。これにより足りなくなったドパミンの代わりをするお薬です。

ドパミン放出促進薬

ドパミン放出促進薬はドパミン神経細胞からドパミンが外に出るのを助けるお薬です。

このほかドパミン放出促進剤、抗コリン薬、MBO-B阻害薬などさまざまな薬があります。

 

リハビリテーション

パーキンソン病の患者さんは、体が思うように動かないことから、何事にも消極的になりがちですが、体を動かさないでいると、筋肉や関節がますます動かなくなり、気持ちも沈みがちになってしまいます。
リハビリテーションを行って体を動かしやすくして、日常生活に必要な動作の改善を目指しましょう。ストレスは症状を悪化させます。ストレスをためず、前向きな気持ちを保ちましょう。 気持ちが落ち込んだとき、意欲ややる気がないときは、医師に相談するとよいでしょう。
パーキンソン病治療は、患者さんご自身だけでなく家族や職場の方の理解も大切です。病気をよく理解し、自分の症状をよく知ってうまくコントロールしましょう。

 

日常生活の注意点

パーキンソン病だからといって生活を変える必要はありません。パーキンソン病であることを意識しすぎず、できるだけ今までどおりの生活を送りましょう。
体が動かしにくいと、外出もおっくうになりがちですが、家の中に閉じこもって体を動かさずにいると、筋肉や関節がかたくなり、ますます体が動かなくなってしまいます。積極的に外出することで生活にメリハリがつき、心が前向きになって、運動能力が低下するのを防ぐことができます。

麦島内科クリニック