糖尿病とは、血液中にブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気のことです。健康な体は、膵臓から出るインスリンというホルモンの働きによって血糖の量を一定に抑えています。 しかし、肥満や膵臓の機能低下などの要因でインスリンの働きが悪くなると、血液中に糖があふれ、血糖値の高い状態が続ことになります。高血糖が長く続くと、血管が傷ついて動脈硬化になり、将来的に深刻な合併症を引き起こす可能性が高くなります。糖尿病が恐ろしいといわれる理由は、まさにそこにあるのです。 糖尿病の合併症には、心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞などの脳の病気、腎不全、網膜症、足の壊疽などがあり、場合によっては命に関わったり、後遺症が残ったり、失明や足の切断など重い結果をもたらすようなこともあります。糖尿病を指摘されたら、とにかく悪化させないことが重要です。
糖尿病治療の基本は、食事や運動習慣の見直しです。エネルギー量を適正に保つ、バランスのよい食事をするといった基本的なことで、効果は期待できます。 食事で増えた血液中の糖は運動することで消費されます。筋肉には糖と脂肪を燃やす働きがあるため、運動によって脂肪は減少します。そして、脂肪が減ればインスリンの働きがよくなるため、糖尿病が改善されるのです。 生活習慣の改善に加え、必要に応じて飲み薬や注射薬を処方し、治療してまいります。
当院は完全予約制で、2名の糖尿病専門医・指導医が治療しています。血糖値の検査に加え、ヘモグロビンA1cの値もその場で迅速に測定できます。 また、糖尿病が進行して動脈硬化を起こしていないか、動脈硬化検査、頸動脈エコー検査を行って診断し、早期発見、早期治療につなげます。
医師、専門の看護師による食事指導、栄養指導、運動指導で改善を目指します。 食事指導では、正しい食生活の習慣を身につけることが基本になります。3食をなるべく決まった時間に食べ、一度の食事で大食いをするのではなく、1日のエネルギー量を3回に分けて摂取することが大切です。食べてはいけないものがあるわけではなく、栄養のバランスをとることが重要になります。 運動指導では、有酸素運動や筋力トレーニングなど、続けられるメニューを患者様と一緒に考えてまいります。
膵臓を休ませて機能の回復を図るため、早期からインスリン注射を始めることがあります。インスリン注射に対しては誤解も多く、「糖尿病の末期に行う治療」とか、「一度始めたらやめられない」といった印象を持たれる方もいらっしゃいますが、決してそうではありません。インスリンの継続で依存症は起こりませんし、注射の痛みもほとんどありません。どうぞご安心ください。
糖尿病予防のために重要なのは、太りすぎないこと。早食いも禁物です。油の多いものは避け、甘いものも控えましょう。
もう一つ、大切なことは運動です。激しいトレーニングをする必要はありませんが、普段の生活で歩く習慣をつけたり、お風呂上がりにストレッチをしたりすると効果があります。そして何より継続が大切です。
糖尿病は急に発症する病気ではありません。よくない生活習慣の蓄積によって引き起こされる疾患であるため、糖尿病予防には生活習慣の改善が重要なポイントとなります。